詩篇35-36; 使徒25

詩篇

第35篇

35:1主よ、わたしと争う者とあらそい、
わたしと戦う者と戦ってください。
35:2盾と大盾とを執って、
わたしを助けるために立ちあがってください。
35:3やりと投げやりとを抜いて、
わたしに追い迫る者に立ちむかい、
「わたしはおまえの救である」と、
わたしに言ってください。
35:4どうか、わたしの命を求める者を
はずかしめ、いやしめ、
わたしにむかって悪をたくらむ者を退け、
あわてふためかせてください。
35:5彼らを風の前のもみがらのようにし、
主の使に彼らを追いやらせてください。
35:6彼らの道を暗く、なめらかにし、
主の使に彼らを追い行かせてください。
35:7彼らはゆえなくわたしのために網を隠し、
ゆえなくわたしのために穴を掘ったからです。
35:8不意に滅びを彼らに臨ませ、
みずから隠した網にとらえられ、
彼らを滅びに陥らせてください。
35:9そのときわが魂は主によって喜び、
その救をもって楽しむでしょう。
35:10わたしの骨はことごとく言うでしょう、
「主よ、だれかあなたにたぐうべき者がありましょう。
あなたは弱い者を強い者から助け出し、
弱い者と貧しい者を、
かすめ奪う者から助け出される方です」と。
35:11悪意のある証人が起って、
わたしの知らない事をわたしに尋ねる。
35:12彼らは悪をもってわたしの善に報い、
わが魂を寄るべなき者とした。
35:13しかし、わたしは彼らが病んだとき、
荒布をまとい、断食してわが身を苦しめた。
わたしは胸にこうべをたれて祈った、
35:14ちょうど、わが友、わが兄弟のために
悲しんだかのように。
わたしは母をいたむ者のように
悲しみうなだれて歩きまわった。
35:15しかし彼らはわたしのつまずくとき、喜びつどい、
ともに集まってわたしを責めた。
わたしの知らない他国の者は
わたしをののしってやめなかった。
35:16彼らはますます、けがす言葉をもってあざけり、
わたしにむかって歯をかみならした。
35:17主よ、いつまであなたはながめておられますか、
わたしを彼らの破壊から、
わたしのいのちを若きししから救い出してください。
35:18わたしは大いなるつどいの中で、あなたに感謝し、
多くの民の中で、あなたをほめたたえるでしょう。
35:19偽ってわたしの敵となった者どもの
わたしについて喜ぶことを許さないでください。
ゆえなく、わたしを憎む者どもの
たがいに目くばせすることを許さないでください。
35:20彼らは平和を語らず、
国のうちに穏やかに住む者にむかって
欺きの言葉をたくらむからです。
35:21彼らはわたしにむかって口をあけひろげ、
「あはぁ、あはぁ、われらの目はそれを見た」と
言います。
35:22主よ、あなたはこれを見られました。
もださないでください。
主よ、わたしに遠ざからないでください。
35:23わが神、わが主よ、
わがさばきのため、わが訴えのために奮いたち、
目をさましてください。
35:24わが神、主よ、
あなたの義にしたがってわたしをさばき、
わたしの事について彼らを喜ばせないでください。
35:25彼らにその心のうちで、
「あはぁ、われらの願ったことが達せられた」と
言わせないでください。
また彼らに「われらは彼を滅ぼしつくした」と
言わせないでください。
35:26わたしの災を喜ぶ者どもを
ともに恥じ、あわてふためかせてください。
わたしにむかって誇りたかぶる者どもに
恥と、はずかしめとを着せてください。
35:27わたしの義を喜ぶ者をば
喜びの声をあげて喜ばせ、
「そのしもべの幸福を喜ばれる主は大いなるかな」と
つねに言わせてください。
35:28わたしの舌はひねもすあなたの義と、
あなたの誉とを語るでしょう。

第36篇

36:1とがは悪しき者にむかい、その心のうちに言う。
その目の前に神を恐れる恐れはない。
36:2彼は自分の不義があらわされないため、
また憎まれないために、みずからその目でおもねる。
36:3その口の言葉はよこしまと欺きである。
彼は知恵を得ることと、善を行う事とをやめた。
36:4彼はその床の上でよこしまな事をたくらみ、
よからぬ道に身をおいて、悪をきらわない。
36:5主よ、あなたのいつくしみは天にまで及び、
あなたのまことは雲にまで及ぶ。
36:6あなたの義は神の山のごとく、
あなたのさばきは大きな淵のようだ。
主よ、あなたは人と獣とを救われる。
36:7神よ、あなたのいつくしみはいかに尊いことでしょう。
人の子らはあなたの翼のかげに避け所を得、
36:8あなたの家の豊かなのによって飽き足りる。
あなたはその楽しみの川の水を彼らに飲ませられる。
36:9いのちの泉はあなたのもとにあり、
われらはあなたの光によって光を見る。
36:10どうか、あなたを知る者に絶えずいつくしみを施し、
心の直き者に絶えず救を施してください。
36:11高ぶる者の足がわたしを踏み、
悪しき者の手がわたしを追い出すことを
ゆるさないでください。
36:12悪を行う者はそこに倒れ、
彼らは打ち伏せられて、起きあがることはできない。


使徒

第25章

25:1さて、フェストは、任地に着いてから三日の後、カイザリヤからエルサレムに上ったところ、25:2祭司長たちやユダヤ人の重立った者たちが、パウロを訴え出て、25:3彼をエルサレムに呼び出すよう取り計らっていただきたいと、しきりに願った。彼らは途中で待ち伏せして、彼を殺す考えであった。25:4ところがフェストは、パウロがカイザリヤに監禁してあり、自分もすぐそこへ帰ることになっていると答え、25:5そして言った、「では、もしあの男に何か不都合なことがあるなら、おまえたちのうちの有力者らが、わたしと一緒に下って行って、訴えるがよかろう」。
25:6フェストは、彼らのあいだに八日か十日ほど滞在した後、カイザリヤに下って行き、その翌日、裁判の席について、パウロを引き出すように命じた。25:7パウロが姿をあらわすと、エルサレムから下ってきたユダヤ人たちが、彼を取りかこみ、彼に対してさまざまの重い罪状を申し立てたが、いずれもその証拠をあげることはできなかった。25:8パウロは「わたしは、ユダヤ人の律法に対しても、宮に対しても、またカイザルに対しても、なんら罪を犯したことはない」と弁明した。25:9ところが、フェストはユダヤ人の歓心を買おうと思って、パウロにむかって言った、「おまえはエルサレムに上り、この事件に関し、わたしからそこで裁判を受けることを承知するか」。25:10パウロは言った、「わたしは今、カイザルの法廷に立っています。わたしはこの法廷で裁判されるべきです。よくご承知のとおり、わたしはユダヤ人たちに、何も悪いことをしてはいません。25:11もしわたしが悪いことをし、死に当るようなことをしているのなら、死を免れようとはしません。しかし、もし彼らの訴えることに、なんの根拠もないとすれば、だれもわたしを彼らに引き渡す権利はありません。わたしはカイザルに上訴します」。25:12そこでフェストは、陪席の者たちと協議したうえ答えた、「おまえはカイザルに上訴を申し出た。カイザルのところに行くがよい」。
25:13数日たった後、アグリッパ王とベルニケとが、フェストに敬意を表するため、カイザリヤにきた。25:14ふたりは、そこに何日間も滞在していたので、フェストは、パウロのことを王に話して言った、「ここに、ペリクスが囚人として残して行ったひとりの男がいる。25:15わたしがエルサレムに行った時、この男のことを、祭司長たちやユダヤ人の長老たちが、わたしに報告し、彼を罪に定めるようにと要求した。25:16そこでわたしは、彼らに答えた、『訴えられた者が、訴えた者の前に立って、告訴に対し弁明する機会を与えられない前に、その人を見放してしまうのは、ローマ人の慣例にはないことである』。25:17それで、彼らがここに集まってきた時、わたしは時をうつさず、次の日に裁判の席について、その男を引き出させた。25:18訴えた者たちは立ち上がったが、わたしが推測していたような悪事は、彼について何一つ申し立てはしなかった。25:19ただ、彼と争い合っているのは、彼ら自身の宗教に関し、また、死んでしまったのに生きているとパウロが主張しているイエスなる者に関する問題に過ぎない。25:20これらの問題を、どう取り扱ってよいかわからなかったので、わたしは彼に、『エルサレムに行って、これらの問題について、そこでさばいてもらいたくはないか』と尋ねてみた。25:21ところがパウロは、皇帝の判決を受ける時まで、このまま自分をとどめておいてほしいと言うので、カイザルに彼を送りとどける時までとどめておくようにと、命じておいた」。25:22そこで、アグリッパがフェストに「わたしも、その人の言い分を聞いて見たい」と言ったので、フェストは、「では、あす彼から聞きとるようにしてあげよう」と答えた。
25:23翌日、アグリッパとベルニケとは、大いに威儀をととのえて、千卒長たちや市の重立った人たちと共に、引見所にはいってきた。すると、フェストの命によって、パウロがそこに引き出された。25:24そこで、フェストが言った、「アグリッパ王、ならびにご臨席の諸君。ごらんになっているこの人物は、ユダヤ人たちがこぞって、エルサレムにおいても、また、この地においても、これ以上、生かしておくべきでないと叫んで、わたしに訴え出ている者である。25:25しかし、彼は死に当ることは何もしていないと、わたしは見ているのだが、彼自身が皇帝に上訴すると言い出したので、彼をそちらへ送ることに決めた。25:26ところが、彼について、主君に書きおくる確かなものが何もないので、わたしは、彼を諸君の前に、特に、アグリッパ王よ、あなたの前に引き出して、取調べをしたのち、上書すべき材料を得ようと思う。25:27囚人を送るのに、その告訴の理由を示さないということは、不合理だと思えるからである」。


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